こんにちは。佐賀の女性行政書士、天山恵理子です。本日は、遺言書はどんな人が書くべきなのか?というテーマで記事を書いていきたいと思います。
遺言書を書くべき人とは?
遺言書を書くべき人というのはどういった人たちか考えるとき、財産を多くお持ちの方や家族の仲があまり良くないという場合を皆さん想像されると思います。もちろん、それも正解です。
本日は、他にどんな方々が遺言書を書くべきなのか?ということについて解説していきます。
相続が発生したときにもし遺言書が残されていなかった場合、遺産を相続できる人は法律で決められています。この法律で決められている遺産が相続できる人のことを、「法定相続人」と言います。法定相続人の詳しい解説については、こちらの記事で解説していますのでよろしければご覧ください。
法定相続人以外の人に、遺産を残したい場合には遺言書を残しておくことでスムーズに相続手続を行うことが出来ます。
結婚していないパートナー
ある人が亡くなったときに配偶者がいれば、その方は相続人となります。
しかし、配偶者というのは法律上の婚姻関係がある人のことを言いますので、内縁の配偶者や同性のパートナーは含まれません。
ですから、内縁の配偶者や同性のパートナーに遺産を受け継いでほしいと希望される場合は、遺言書を書く必要があります。
生前に貢献してくれた人
他には、自分の子供の配偶者などに財産を分けたい場合です。具体例をあげるとしたら、お姑さんお介護をお嫁さんが一生懸命頑張ってくれたので、感謝の気持ちとしていくらかのお金を受け取ってほしいと口約束していたとします。しかし、お嫁さんは法定相続人ではありませんので、遺言書が無ければ一切遺産はもらえません。
実際に相続手続をする場面で、遺産を残す側の人はもう亡くなっているのですから、実際にどんな約束をしていたか証明する手段がありません。
遺言書を残すことで、争いを避けられる可能性や、最後の希望を叶えられる可能性がグンと高まります。
未婚で子供がいない方
そして、一人っ子の方で配偶者も子供もおらず親もすでになくなっている、いわゆるおひとり様の場合。
その方が亡くなり相続人として該当する人がいない場合は、財産は国のものになると法律で決められています。
こういった場合に、財産が国のものになるよりは、施設等に寄付をしたいと考える方がいらっしゃいます。例えば、動物好きな方が動物保護団体に遺産を受けとってほしいといった場合、遺言書があれば実現する可能性があります。
このような遺言書を残す場合、施設や団体側が受け取り可能なのかを協議したりきちんと事前準備を整えておく必要があります。
複数の婚姻歴のある方
あとは、複数回の婚姻歴がある方です。
離婚した前の配偶者は相続人ではありませんが、前の配偶者との間の子は相続人となる可能性があります。通常、前の配偶者や子供と今の配偶者や子供が積極的に交流を持つことはあまり考えられませんので、遺言書を残すことでより争いを防ぐ安全性を高められると言えます。
日本の離婚率は約35%と言われており、3組に1組の夫婦が離婚している現状です。
前のところでも書きましたが、相続手続をするときには間を取り持つ人=あなたはもうこの世にはいないのです。
愛する人を守ろうという気持ちがあれば、ぜひ遺言書を残していただきたいと思います。
おわりに
以上のように、法定相続人以外に遺産を受け継いでほしいとお考えの方、複数回の婚姻歴をお持ちの方は、遺言書の作成を検討されることをお勧めします。仮に心配なことはなかったとしても、遺言書を残しておくことで残された家族がスムーズに相続手続を済ませ、ゆっくり故人へ想いを馳せる時間を取ることが出来たり、日常生活に戻ることが出来るかもしれません。
相続は普段から身近なものとはいいがたいので、法律のことはよくわからないと思う方も多いと思います。しかし、法律の世界には「法の不知はこれを許さず」という言葉があります。こんな法律なんて知らなかったんだから、無しってことで取り消せるでしょ?!・・・と言ったところで、そんな主張は通らないのです。
ぜひ、自分の身を守るために、残される家族のためにも正しい知識を身に着けていただきたいなと思います。