こんにちは。行政書士の天山恵理子です。
前回のブログは、建設業許可における欠格事由について解説しました。本日は、後半ということで残りの部分を解説していきたいと思います。
建設業法8条を優しい言葉で解説
⑦禁固以上の刑に処され、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
禁固と懲役と似ている刑罰がありますが、この二つに違いは刑務作業が義務なのかどうかという点で、禁固の方が刑務作業が義務ではないので懲役よりも軽い刑と一般的には言われています。
まず一つ目のパターンとして、禁固以上の刑になって刑務所から出た後5年間は欠格事由に該当するするのでその間は許可取得はできません。
もう一つのパターンは、執行猶予が付いた場合です。執行猶予期間中は許可を所得することは出来ませんが、こちらの場合は猶予期間が満了すれば申請することができます。
⑧この法律、建設業許可の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)の規定(同法第32条の3第7項及び第32条の11第1項の規定を除く)に違反したことにより、又は刑法(明治40年法律第45号)第204条、第206条、第208条、第208条の2、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処され、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
とても長くて分かりにくいですが、つまり・・・ある一定の法律を犯してしまい罰金刑になってしまった場合は5年間欠格事由に該当するということです。
ひとつ前の解説では、何の法律家は関係なく禁固以上であれば欠格事由に該当すると言いましたが、罰金刑になると欠格事由に該当する法律は決まっています。それは以下の通りです。
- 建設業法
- 建築基準法
- 宅地造成等規制法
- 都市開発法
- 景観法
- 労働基準法
- 職業安定法
- 労働者派遣法
- 暴力団員等による不当な行為の防止等に関する法律
- 刑法(傷害罪、現場助成罪、暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪、背任罪)
- 暴力行為等処罰に関する法律
これらの法律の適用で罰金刑になると5年間欠格事由に該当するので、仮に新しい会社を作ろうと許可は取得できません。
⑨暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
こちらは、分かりやすいですね。読んでそのまま、暴力団員の人は許可は取れません、仮に暴力団を抜けたとしてもその後5年間は欠格事由に該当しますというものです。
⑩心身の故障により建設業を適正に営むことが出来ないものとして国土交通省令で定めるもの
心の病気であったり、物事を理解したり意思疎通をすることが難しい状態にある人は、建設業許可を取得することができません。発注者を保護するためであったり、工事による事故や危険を防止するためにこのような決まりとなっています。
⑪営業に関し成年と同一の行為能力を有しない未成年者で法定代理人が前号各号(法人でその役員等のうち第1号から第4号まで又は第6号から前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る)のいずれかに該当するもの
未成年者の法定代理人というのは例えば両親などが該当しますが、建設業許可を取得するにあたりその両親も欠格事由に該当してはいけないということです。
一方、未成年であっても結婚している場合は、法定代理人の許可等は必要なく一人で取引など行うことが出来ますので親まで審査されることはありません。
⑫法人等でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第1項から第4号まで又は第6号から第10号までのいずれかに該当する者(第2号に該当する者についてはその者が第29条の規定により許可を取り消される以前から、第3号又は第4号に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第6号に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であった者を除く)のあるもの
法人の役員の中に、これまでご説明した①②③④⑥⑦⑧⑨⑩に該当する人がいる場合には、欠格事由に該当するとして許可が下りません。社長さんだけではなく、役員さんや支店長さん(令3条使用人)なども欠格要件に該当する人がいないか審査されます。
⑬個人で政令で定める使用人のうちに、第1項から第4号まで又は第6号から第10号までのいずれかに該当する者(第2号に該当する者についてはその者が第29条の規定により許可を取り消される以前から、第3号又は第4号に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第6号に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であった者を除く)のあるもの
先ほどの条文は法人に対する者でした。こちらは個人事業主さん向けのものです。事業主さん以外に、支配人として登記されている人も欠格事由に該当しないか審査れます。
支配人登記というと、イメージつきにくいかもしれませんが・・・公的な方法を使って支配人という立場ですよ!!と証明してもらっている人という感じでしょうか。
⑭暴力団員等がその事業活動を支配する者
例えば、社長さん自身は一般の方ですがバックには暴力団関係者がいて、実際のところはその暴力団員に人が実権を握っているという場合です。
おわりに
今回は2回にわたって、建設業法8条の欠格事由について解説しました。
出来る限り難しい言葉を使わず、分かりやすい解説を心がけましたがいかがでしたでしょうか?
この記事の目的としては、建設業者さんや許可取得を検討されていいる方に欠格事由のイメージを持っていただき、建設業の適切な経営のサポートの一つとなれば・・・と思っています。
この記事はあくまでも分かりやすいイメージを持つことが目的ですので、少しでも心配なことがあるようでしたらぜひ行政書士にご相談ください。