こんにちは。行政書士の天山恵理子です。今回も建設業許可についてです。
建設業許可は建設業を営む業者さんすべてが取得する必要があるわけではありません。軽微な建設工事の場合は建設業許可が無くても工事を請け負うことが出来ます。しかし、コンプライアンス上の問題から元請さんから許可取得を求められる下請け業者さんも多いようです。
軽微な建設工事とは?
そもそも、軽微な建設工事というのは1件の工事の請負代金が500万円未満(消費税含めて)の工事のことを言います。
※建築一式の場合は、1500万円未満、もしくは金額にかかわらず木造住宅で延面積が150㎡未満の工事(主要部分が木造で、延べ面積も1/2以上を住居の用に供すること)
軽微な建設工事以外は建設業許可が無ければ、請け負うことは出来ません。
では、金額を分けて請求書や領収書を発行してもらえばいいのかというと、そうではありません。仮に書類のうえでは、500万円未満となっていても、書類上は分けられたいくつかの工事をあわせて一連の工事であるとみなされれば、それは建設業法違反となる可能性があります。
営業所と技術者
ところで、建設業許可に取得するための要件の一つに「各営業所ごとに専任技術者がいること」という要件があります。専任技術者になれる人は、許可を取りたい業種に関連する国家資格や実務経験がある方などです。
「専任」の技術者でなければなりませんので、本店と支店の両方で技術者を兼任することは出来ません。
例えば、本店の他に支店が2つある会社があり、これまでは各営業所で軽微な建設工事を請け負ってきました。この度建設業許可を取得したいと考え各要件をクリアできるか確認していったところ、専任技術者要件を満たす人材が2人しかいませんでした。
この場合、建設業法上の営業所として申請できるのは本店と支店2つのうちのどちらか1つだけです。そうなると、許可取得前はすべての営業所で軽微な建設工事を請け負うことが出来ていましたが、許可取得後は3つのうち2つの営業所でしか工事を請け負うことが出来ず、残りの1つの営業所では軽微な建設工事ですら請け負うことは出来ないという事態が発生してしまいます。
もう一つ別の例を見ていきましょう。
本店が佐賀県、支店が1つ福岡県にある会社が大臣許可を既に取得し営業をしていました。ある時、福岡の支店で専任技術者となっていた従業員が退職することになりました。ところが、社内には他に専任技術者としての要件を満たす人材が他にはおらず、あわてて求人を出しましたが、結局間に合わず技術者の退職までに人材を確保することが出来ませんでした。
この場合、支店では専任技術者がいないので建設業法上の営業所として工事を請け負うことが出来ません。さらに、こちらの会社は許可換え新規申請をして大臣許可から知事許可に切り替えなければいけません。
大臣許可から知事許可に切り替えてしまうと会社の対外的な評価を落としてしまう可能性もありますし、ましてやその理由が技術者不足だとするとなおさらです。
終わりに
上記の2つの例のような事態を避けるために、建設業者さんは計画的に人員の確保や技術者育成を行っていかなければなりません。会社としても、資格取得をサポートしたり福利厚生を充実させるなど、売上以外のこともバランスよく考えていく必要があると言えます。
行政書士は、このような問題に対しても経営者の方と一緒に問題解決のお手伝いをいたします。まずはお気軽にご相談ください!!