建設業許可申請における欠格事由について日本一優しい言葉で解説してみた【前半】

こんにちは。行政書士の天山恵理子です。

建設業許可取得の要件の一つに、欠格事由に該当しないこと・・・というものがあります。

許可を既にお持ちの事業者さんや許可取得を検討されたことのある事業さんは、ご覧になったことがあると思います。

欠格要件については、建設業法8条に規定されていますが、難しい言葉がたくさん並んでいてよく分からない・・・とお思いになった方は少なくないと思います。

しかし、この欠格事由について正しく理解していないと思わぬ事態に陥ることもありますので、本日は難しい言葉はできるだけ使わずに、日本一優しい言葉(自称!笑)で解説していきたいと思います!!

建設業法8条を優しい言葉で解説

国土交通大臣又は都道府県知事は、許可申請書若しくはその添付書類の重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。

こちらは建設業法8条の本文の一部です。

こちらはまず一つ目としてウソをついてはいけませんということですね。言わなきゃばれない・・・黙っていれば大丈夫・・・なんてことはありません。審査の過程で警察に照会をかけられますし、行政庁内のデータベース上にもいろいろと記録が残っているようなので、ほぼ確実に隠し通すことは出来ません。

「重要な事実の記載が欠けている」という部分ですが、例えば書くべき経歴が書かれていない場合などです。

建設業許可の申請書の中には、役員の方などの賞罰について記載するところがあります。役員さんの一人が2年前に傷害事件を起こしてしまい現在執行猶予中なのに、「賞罰なし」ということで申請してしまうと重要な事実の記載がなされていないということで許可取得できません。

①破産手続き開始の決定を受けて復権を得ないもの

破産手続きが開始されると色々な面で制限を受けることになります。例えば、一定の職種に就くことが出来なくなったり、ローンが組めなくなったりします。それらの制限がなくなることを「復権」といいます。

建設業許可申請では、役所から発行される「身分証明書」という書類で確認されます。

もしかすると、身分証明書って車の免許証や保険証のことじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、この場合は役所が「この人は破産手続き中じゃないですよ!」と、書面で証明してくれるもののことです。ちなみにこの書類は本籍地でないと取得できません。

②第29条第1項第7号又は8号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しないもの

まず、29条1項7号の内容は、ウソをついて許可の取得や更新をしようとした場合には許可取り消します!!というものです。

次に、29条1項8号の内容は、危ない工事をしてしまい、被害が出たりとても危険な状況を作り出してしまったときや、法律のルールを無視した契約を結んで工事をして営業停止の処分をしたのにさらにその処分にも違反したとき、許可取り消します!!というものです。

これらの許可取り消し処分を受けた後は、5年間は欠格事由に該当するため許可を取得することが出来ません。

③第29条第1項第7号又は第8号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取り消しの処分に係る行政手続法(平成5年法律第88号)第15条の規定による通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出をしたもので当該届出の日から五年を経過しないもの

第29条第1項第7号又は第8号については、すでにご説明しました。

行政手続法15条が規定する通知とは、「聴聞の通知」「弁明の機会付与の通知」というものです。行政庁が不利益な処分をするときには「不利益な処分をすることになりそうだけど、事前に言っておきたいことがあればききますよ!!」というものを行わなければなりません。ここでいう不利益な処分というのは、建設業許可の取り消し処分や営業停止処分などですね。

不利益な処分はなぜ行われるのか、根拠となる法律や条文は何なのか、意見をいけるのはいつどこなのか、などといったことを事前に通知します。

その後、実際に許可を取り消すのか取り消さないのかを行政庁が決めるわけですが、そのどちらかの決定がある前に廃業の手続をすることがあります。

不利益処分の許可取り消しは何らかの違法性があってなされるものですが、廃業届は許可の要件を維持できなくなったときに自分から申告して行うものですので、微妙に意味合いが違ってきます。

それを利用して、不利益な処分を免れるために廃業届を出しても、その後5年間新たに許可取得することは出来ませんということです。

④前号に規定する期間内に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出があった場合において、前号に通知の日前60日以内に該当届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であったもので当該届出に日から5年を経過しないもの

すでにご説明したように、許可の取り消しを免れるために廃業の手続をした場合、5年間新たに許可取得をすることはできません。

これは、廃業届を出す前の60日以内にその会社の役員だった人や支店長さんだった方なども含まれるということです。

社長はダメかもしれないけど、他の役員が社長ということで別会社をつくって、黙って申請すればバレないんじゃない?と思われるかもしれませが、それは虚偽申請に該当しますので絶対にやってはいけません。

⑤第28条第3項又は第5項の規定により営業停止を命ぜられ、その停止期間が経過しないもの

危ない工事をしてしまい、その結果被害が出たりとても危険な状況を作り出してしまったときや、法律のルールを無視した契約を結んで工事をしてしまうと、営業停止の処分を受けることがあります。

その期間中は欠格事由に該当することとなりますので、その期間が終わるまでは建設業の申請をしたところで許可は下りないということです。

⑥許可を受けようとする建設業について第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しないもの

営業停止の処分がなされた場合にはその停止の期間、不利益処分として許可が取り消された場合にはそこから5年間欠格事由に該当するというものです。この欠格事由の恐ろしいところは、営業停止や許可取り消しとなったときにその会社の役員などであった人全員が欠格事由に該当するということです。

例えば、ウソの内容で更新申請をしてしまったため許可取り消し処分になってしまったとします。そのとき、その会社の役員であった人は全員が欠格事由に該当するため、役員のメンバーはそのままに別会社を作ってあらたに新規の許可申請をしようとしても不許可になってしまうということです。

後半に続く・・・

この記事を書いた人

天山 恵理子